Backrooms著作権騒動とは?A24映画化でネット発ホラーが「誰のものか」議論に

2026年、A24の映画『Backrooms』は、YouTube発ホラーがハリウッドの大ヒット作になる時代を象徴する作品になった。

しかし、その成功のあとに起きたのが、Backrooms関連のファンアートやグッズをめぐる著作権騒動だ。

本サイトでは以前、A24とGoogle DeepMindの提携から、BackroomsとAI映画制作の未来について解説した。今回はその続編として、映画化後に浮上した「Backroomsは誰のものなのか」という問題を整理する。

前回記事:
https://thewrightbrothers.blog/archives/7985

目次

結論:Backrooms著作権騒動とは

今回の騒動は、A24に関連するとされる著作権削除申請が、Backrooms風のファンアートやグッズに対して行われたと報じられたことから広がった。

海外メディアによると、Redbubbleなどで販売されていたBackrooms風のデザインに削除申請が入り、ファンの間で「A24がBackroomsというネット文化そのものを所有しようとしているのではないか」という反発が起きた。

その後、A24側は外部システムによる誤作動だったと説明したと報じられている。映画版『Backrooms』を監督したKane Parsonsも、Backroomsコミュニティを守る姿勢を示した。

つまり今回のポイントは、単なるグッズ削除問題ではない。

ネット上で多くの人が作り上げてきた怪談やミームを、映画会社が作品化したとき、どこまでが企業の権利で、どこからがファン文化なのか、という問題だ。

Backroomsとは何か

Backroomsとは、現実から外れてしまった人が、黄色い壁紙と蛍光灯が続く無限の部屋に迷い込む、というインターネット発のホラー設定だ。

もともとは2019年ごろに匿名掲示板で広がった画像と文章がきっかけとされる。その後、Reddit、YouTube、ファンWiki、ゲーム、映像作品などを通じて、世界中のユーザーが設定を増やしていった。

日本語では「バックルーム」「後室」「リミナルスペース系ホラー」と説明されることもある。

特徴は、明確な怪物よりも「見覚えがあるのに不気味な空間」そのものに怖さがあることだ。ショッピングモール、オフィス、ホテルの廊下、学校のような場所が、誰もいないまま無限に続く。その違和感が、Backroomsの中心にある。

Kane Parsons / Kane Pixelsとは

Backroomsを一気に映像作品として広めたのが、Kane Parsons、通称Kane Pixelsだ。

彼はYouTubeでBackroomsを題材にしたファウンドフッテージ風の映像を公開し、ネット上の都市伝説だったBackroomsを、映画のように感じられる世界観へと押し上げた。

その後、A24による映画化が進み、Kane Parsonsは若くしてハリウッド映画の監督として注目される存在になった。

この流れは、日本の読者にとっても重要だ。なぜなら、Backroomsは「映画会社が最初から作ったホラー」ではなく、YouTubeやネットコミュニティで育った文化が、あとから映画産業に取り込まれた例だからだ。

なぜA24映画化で問題が起きたのか

A24版『Backrooms』は大きな成功を収めた。Box Office Mojoでは、世界興行収入が3億8000万ドルを超えていることが確認できる。

低予算寄りのホラー作品としては非常に大きな成果であり、A24にとっても重要なヒット作になった。

しかし、ヒットすればするほど、権利管理は厳しくなる。映画会社としては、海賊版、無断販売、映画素材の不正利用を防ぐ必要がある。

一方で、Backroomsはもともとファンが自由に広げてきたネット文化でもある。

ここで問題が起きる。

映画の海賊版を取り締まることと、映画以前から存在していたBackrooms風のファンアートまで削除することは、まったく同じではないからだ。

ファンが反発した理由

Backroomsファンが強く反応したのは、Backroomsが「企業が作ったキャラクター」ではなく、「ネット全体で育った怪談」に近い存在だからだ。

日本でたとえるなら、都市伝説、怪談、ネットミーム、二次創作文化が混ざったものに近い。

誰か一人が完全に所有しているというより、多くの人が少しずつ設定や映像、イメージを足してきたことで、今のBackroomsができている。

そのため、映画会社が関連作品を削除し始めたように見えると、ファンは「自分たちの文化が企業に囲い込まれるのではないか」と感じる。

これはアメリカのネット文化では特に敏感なテーマだ。DMCA、ファンアート、Redditでの議論、YouTubeクリエイターの権利、企業によるIP管理は、長年何度も衝突してきた。

A24とKane Parsonsはどう対応したのか

報道によると、A24側は今回の削除申請について、外部システムによる誤作動だったと説明した。

また、Kane Parsonsも、Backroomsコミュニティを攻撃するような対応は望んでいないという立場を示したと伝えられている。

この対応によって、騒動は一定程度落ち着いた。

ただし、問題の本質は残っている。

Backroomsのようなネット発ホラーが映画化され、世界的なヒットになったとき、ファン作品、二次創作、グッズ、ゲーム、映像、ミームはどこまで自由に残れるのか。

これは、今後ほかのネット発作品でも繰り返される可能性がある。

Backroomsだけの問題ではない

Backroomsの成功後、ハリウッドはほかのインターネット発ホラーにも注目している。

Entertainment Weeklyは、The Mandela Catalogue、Siren Head、Cartoon Cat、SCP関連作品など、ネットロアやクリーピーパスタをもとにした映画企画を紹介している。

つまり、Backroomsは例外ではなく、始まりかもしれない。

YouTubeシリーズ、Reddit発の怪談、ミーム、ファンWiki、インディーゲーム。これらは今後、映画会社にとって重要な原作候補になっていく。

だからこそ、Backroomsの著作権騒動は、今後のネット文化と映画産業の関係を考えるうえで重要なケースになる。

日本の読者が見るべきポイント

日本では、Backroomsを単なる海外ホラー映画ニュースとして見るよりも、「ネット発の文化が商業化されると何が起きるか」という視点で見るとわかりやすい。

Pacu JalurやIraqi Filterのように、海外のローカルな映像やミームがあとから日本で検索される流れはすでに起きている。

Backroomsも同じく、最初は一部のネットユーザーが知る文化だった。しかし、YouTube、映画、SNS、ファンアートを通じて、世界的な検索ワードになった。

違うのは、Backroomsが大きな映画ビジネスになったことで、権利の問題が表面化した点だ。

日本でもアニメ、ゲーム、ボカロ、二次創作文化では、公式とファンの距離感が常に重要になる。だからこそ、Backroomsの騒動は日本の読者にも伝わりやすい。

まとめ:Backroomsはネット民話から映画IPになった

Backroomsは、ただの怖い映画ではない。

匿名掲示板、YouTube、Reddit、ファンアート、ゲーム、映画会社が重なって作られた、現代的なネット民話だ。

A24版『Backrooms』の成功は、ネット発ホラーがハリウッドで通用することを証明した。一方で、今回の著作権騒動は、コミュニティ発の文化を企業が扱う難しさも見せた。

Backroomsは誰のものなのか。

法的な答えは簡単ではない。しかし、少なくとも文化的には、Backroomsは多くの人が作り、広げ、怖がり、遊んできた場所だ。

映画化によってその扉が世界に開かれた今、次に問われているのは、ハリウッドがその扉を閉じずにいられるかどうかだ。

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A24とGoogle DeepMindによるAI映画制作の前回解説はこちら

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Sources
PC Gamer: https://www.pcgamer.com/games/horror/kane-parsons-is-standing-up-for-an-artist-after-a24-attempted-to-copyright-strike-their-backrooms-art/
Creative Bloq: https://www.creativebloq.com/entertainment/movies-tv-shows/the-backrooms-copyright-controversy-risks-tainting-the-movies-breakthrough-success
Kotaku: https://kotaku.com/backrooms-director-kane-parsons-a24-copyright-strike-wallpaper-2000717053
GamesRadar+: https://www.gamesradar.com/entertainment/horror-movies/big-hollywood-studios-are-fighting-over-new-director-on-the-block-kane-parsons-ahead-of-his-backrooms-sequel/
Entertainment Weekly: https://ew.com/upcoming-movies-based-on-internet-lore-memes-creepypasta-12019505
Box Office Mojo: https://www.boxofficemojo.com/title/tt26657236/

ライト兄弟ニュース編集長

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