
日本では、モノはただ使われるだけではない。
bonobo LLCは、アップサイクルブランド「ikasu」による着物アート展示を、2026年5月1日から5月31日までTHE LIVELY 東京麻布十番にて開催すると発表した。
会場はホテル2階ラウンジ「LIVERALLY」。本展示では全53点(うち新作44点)が公開される。テーマは「都市の夜に浮かび上がる光と色」。作家・岡本怜奈が、古い布を重ねることで、静けさと鮮やかさが共存する空間を表現している。
作品の出発点は、すべて「着物」である。
新品ではない。
すでに役目を終えたものだ。
かつて誰かが身にまとい、人生の節目や日常を過ごした布。
それらは捨てられるのではなく、形を変えて再び生きる。
桐箪笥などの日本家具をフレームとして取り入れた作品もあり、ikasuの「すべてを活かす」という思想が貫かれている。
これは再利用ではない。
“継続”である。
展示期間中は、通常宿泊者限定のラウンジが一般開放され、予約不要・入場無料。作品はすべて一点物として販売され、価格は税込4万円からとなっている。
ikasuの目的は明確だ。
役目を終えた着物に、もう一度役割を与えること。
それは、過去を消すことではなく、
過去を残したまま未来に渡すという選択である。
日本では、古いものは「古いから価値がない」のではない。
「時間を持っているから価値がある」。
その考え方が、この展示の根底にある。
注釈(外国人向け解説)
日本における「着物」は、単なる衣服ではありません。
結婚式、成人式、卒業式など、人生の重要な節目で着用される特別な存在です。現在、日常的に着物を着る人はごく少数(1%未満とされる)ですが、その文化的価値は今も強く残っています。
多くの日本人にとって、着物は「思い出」や「家族の歴史」を含んだものです。親から子へ受け継がれることもあり、役目を終えた後も簡単には捨てられません。
そのため、日本では「使えなくなった=廃棄」ではなく、
「形を変えて残す」という考え方が自然に存在します。
本展示で行われているアップサイクルは、単なる環境配慮ではなく、
文化や記憶を別の形で生かす行為です。
ライト兄弟ニュースとしては、こう考える。
この展示は、素材を再利用しているのではない。
時間そのものを再編集している。

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